定年退職後、収入が年金だけになり残り10年以上の返済が困難と考えた、愛知県一宮市在住のT様。
退職金も住宅ローンを組んだ時に想定したいたほど入らず、年金だけで最後まで支払っていくことは難しいと考えて任意売却を決断されました。
年金だけではあと10年も払えない…
インタビュアー:まだ返済が滞っていない段階で任意売却を検討された経緯を教えてください。
住宅ローンの契約自体は75歳で完済の予定でしたが、家を買った時は退職金でまとめて払ってしまうつもりでした。しかし、その後の不況や転職もあり、老後資金を貯金することができませんでした。
退職金も転職の影響で想定していたほど入らず、生活費の足しにするだけで終わってしまいました。退職後、しばらく返済を続けていましたが、年金だけでは貯金が減っていく一方でとてもあと10年は持たないと思いました。それで家を売ってしまおうかと考えたのがきっかけです。
不安を抱えながら生きることが憂鬱だった…
インタビュアー:住み慣れた家を手放すのに抵抗はありませんでしたか?
もちろん葛藤はありました。できることならここで一生を終えたい、それが願いでした。しかし、現実的に将来のことを考えると厳しいと思いました。歳も歳ですので今後病気になるかもしれませんし、このままぎりぎりの生活をしてもいつ払えなくなるかわかりませんでした。
そして何よりも、不安を抱え続けながら生きていくことが憂鬱でした。それならばいっそ家を手放して気持ちをスッキリさせようと思いました。
インタビュアー:ご家族は反対されませんでしたか?
すでに子供たちは成人して巣立っていたので、妻だけに相談しました。最初は残念がっていましたが、余裕のある余生を過ごしたいということで意見が一致して、理解してもらえました。
そもそも子供たちが出ていって妻と私2人だけではこんな広い家は必要ないですし。
家を売ってみて、今まで家に縛られていたことに気づいた
インタビュアー:実際に任意売却されてどうでしたか?
家を売って賃貸マンションに引っ越して新しい生活を送ってみて、はじめて今までは家に縛られていたんだなぁと気づきました。
家は狭くなりましたが、生きていくうえで何も不自由ありません。自分が建てた家を心のどこかで誇りに思っていたのですが、それを守るために今までは無理をしていた気がします。
何より心の重荷が取れて今はスッキリしています。ずっと将来が不安だったのですが、その不安から解放されて妻も以前よりも笑顔が増えたような気がします。
年金でもゆとりのある生活
インタビュアー:任意売却の前後で実際に出費がどのように変わったか教えてください。
自宅を任意売却するまでは、毎月8万円、ボーナス月は20万円近くを返済していました。年金だけではローンと生活費を払うとほとんど残らず、ちょっと出費の多かった月はマイナスでした。
もちろん年金にボーナスはないので、ボーナス月は大赤字です。当たり前ですが、ボーナスが無くなってもボーナス払いは無くならないんですね(笑)。そんな生活を4年続けていたら貯金がどんどん減っていきました。
任意売却した後は、妻と2人で月6万円のマンションに引っ越しました。あとは任意売却してもローンが残ってしまったので、月5000円ずつ返していかなければなりません。それでもボーナス払いが無くなったので、これなら年金だけでもある程度ゆとりのある生活はしていけます。
インタビュアー:貴重なお話ありがとうございました。