<相談内容>
自己破産すると年金はどうなってしまうのでしょうか?
会社の業績が悪化し、給料が大幅にカットされてしまい、住宅ローンの返済の目途が立たず、自己破産することを検討しています。
自己破産を行った場合、年金受給額が変わる、もしくは年金の受給権利が無くなるという事はあるのでしょうか?自己破産後の老後生活の事を考えると年金が受給されなくなってしまうのは非常に困ります。
また、自己破産以外で何か最善の方法があるのであれば、合わせてアドバイスをお願いします。
<回答>
結論から言うと加入している年金により異なります。
まず簡単に年金の種類を整理してみます。
①公的年金:国が運営・支給している年金
②企業年金:企業年金制度を導入している企業が運営支給する年金
③個人年金:各個人が保険会社等との契約により、積立て受け取る年金
大きく分けると上記3つがあります。
それでは自己破産すると上記年金はどのようになるのでしょうか。
①公的年金②企業年金については自己破産をしても影響を受けません。
公的年金や企業年金は、私たちの最低限度の生活を守るために欠かせないもので、法律で差押禁止財産として守られています。
そのため、公的年金や企業年金は基本的に差し押さえられることはありませんのでご安心ください。
そして、これらの年金は自己破産後に支給されたとしても、通常は自己破産手続き開始決定後に得られた収入という扱いになり、後から差し押さえられるようなこともありません。
下記に、公的年金と企業年金の保護について簡単にまとめました。
1.公的年金の保護
公的年金には、老齢年金や障害年金、遺族年金などがあり、これらはいずれも自己破産による差押えの影響を受けません。
公的年金は、将来の生活を支えるために国が運営している年金制度で、受給者個人のものです。
そのため、自己破産手続き中であっても自己破産後であっても、原則としてこれらの年金が差し押えられることはありません。
年金は法律で特に守られており、これにより最低限の生活費が確保され、将来の生活の安定を保つことができるようになっています。
2.企業年金の保護
企業年金も、公的年金と同じように自己破産よる差押えの影響を受けません。
企業年金は、企業が従業員のために導入し、積み立てて運用する年金制度で、従業員の退職後の生活資金をサポートするためのものです。
この年金は長年にわたり積み立てられ、将来の生活資金として支給されますが、差押禁止財産として守られています。
そのため、自己破産後も差押えの対象ではないので安心して受け取ることができます。
企業年金の形態には確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)などがありますが、いずれの年金も自己破産した後も受け取ることができます。
ただし、確定拠出年金(企業型DC)については、支給開始後の年金が収入として扱われるため、一定の金額を超える場合には差押えられるリスクがあることもあります。
とはいえ、通常、差押えのリスクは低いので、企業年金は自己破産後も受け取ることができます。
一方で、③個人年金は、自己破産による影響を受けます。
個人年金は、公的年金や企業年金とは異なり、自己破産をすると受け取れない可能性があります。
個人年金は、保険会社や金融機関との契約により、各個人が保険料等を将来のために積み立てて受け取る方式の年金です。
自己破産をすると、この積立金が個人の財産とみなされることがあります。
その場合、解約返戻金が資産として扱われることとなり、個人年金の解約返戻金が20万円以上ある場合、自己破産の手続きに影響を及ぼすことがあります。
これにより、自己破産の手続きにおいてその解約を求められ、年金全額を受け取れないことがあります。
なお、解約返戻金が少額であれば、強制解約は避けられる場合もあり、契約内容によっては解約返戻金がない場合もあります。
また、自己破産の際に解約が必要かどうかはその契約内容や裁判所の判断によります。
公的年金や企業年金などの差押禁止財産が差押の対象となりうる場合の例
次のような場合は、公的年金や企業年金として受け取る年金が例外的に差し押さえられることがあります。
■自己破産手続き中に支給を受け、すでに口座に入金されている金額が最低限度の生活費の範囲を超えているとき
年金の一部が生活費として必要な額を超えている場合、差押えの対象となることがある
■税金を滞納しているとき
税金の滞納がある場合には、年金が差し押さえの対象となることがある
まとめ
「自己破産すると年金はもらえないのではないか」と不安に感じている方も多いかもしれませんが、公的年金や企業年金は基本的に自己破産による影響はなく、自己破産後も受給する権利は守られています。
そのため、自己破産をした後に年金を受給できないといったことはありません。
ただし、個人年金は財産として差押えの対象となることがあります。
公的年金や企業年金は受給者が最低限の生活を守れるように保護されています。
これにより、経済的な再スタートを切るための生活費が確保されるので、自己破産を経験した方にとって、年金は安心して生活を送るための大切な支えとなっています。
ただし例外として、差し押さえが禁止されている年金であっても、自己破産手続き中に支給された年金が口座にすでに入金されていたりすると、収入とみなされることがあります。
そして、最低限度の生活をするために必要な額を超える部分については、状況や裁判所の判断により差し押さえられることがあります。
また、税金を滞納していると、滞納状況によっては年金に差し押さえがかかることがあるため、その点についても確認しておくことが重要です。
弁護士に相談する際には、税金の滞納状況や差押えの範囲についても併せて確認しておくと安心でしょう。
自己破産の前に任意売却をご検討ください。
「住宅ローンの返済ができない!もう自己破産するしかない!」と考えてしまう方も多いのですが、自己破産は最終手段とお考えください。
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【執筆者】
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。