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自己破産における同時廃止と管財事件に振り分けられる基準

(1)管材事件

「管材事件」とは破産管財人(弁護士が多い)が中心となって自己破産手続きを進める破産事件をいいます。

破産管財人を中心に破産手続きが進められ、裁判所は基本的に破産管財人の活動を監督する立場になります。

管財事件になってしまうと、裁判所への数十万円の予納金が必要になってしまい、大幅に費用が掛かってしまいます。

そのため、多くの方が返済ができないという理由で自己破産を選択するにもかかわらず、予納金を工面できずに破産することもできないという悲惨な状況になってしまうことも珍しくありません。

(2)同時廃止事件

そもそも、自己破産とは破産者の財産を換価処分し、債権者に公平に弁済・配当するという手続です。

破産手続を開始する段階からすでに破産手続の費用を支払うだけの財産もないことが明らかであるときはコストが無駄になる可能性が高いです。

そこで、破産手続きの開始と同時に破産手続き廃止決定がなされる場合があります。
両者を同時にするため「同時廃止」と呼ばれています。

同時廃止であれば、管財事件と異なり予納金が必要なくり、弁護士費用だけで済みますので、できる限り同時廃止での自己破産ができるに越したことはありません。

(3)振り分けられる基準

管材事件と同時廃止の分かれ目はどこになるのでしょうか。
破産法にはこのように書いてあります。

破産法206条:「裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。」※破産財団:破産者の財産の総体(総財産)

具体的な基準は裁判所によって異なるのが現状ですが、概ね20万円が一定の基準となっており、20万円未満だと同時廃止になることが多いです。

しかし、20万円を超えている場合であっても、すべてが管材事件になるわけではありません。
按分して弁済する方が簡易な場合は、按分弁済の処理となります。

※これとは逆に20万円未満でも管材事件となる場合があります

例えば、破産申立時または申立一定期間前に事業を行っていた、または法人の代表者であった場合や、破産申立の直前に財産の売却などの行為があり、破産管財人の否認権の行使によって財産の形成が見込まれる場合等があります。

以上が事故破産の種類と基準ですが、任意売却後に自己破産により残債務の免責を検討している方や、自宅がある状態で自己破産を検討されている方は、この点にも注意して進める必要があります。


【執筆者】

ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)

大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。

その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。

その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。

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