登記はなぜ必要か?
任意売却に限らずすべての不動産取引では、不動産登記制度を採用しており、不動産の現況と権利関係を登記簿に記録して公示することにより、安全性と円滑化を図っています。
不動産の現況を表示する表題部の登記(建物の種類、構造など)は、取得したら不動産登記法で「1ヶ月以内」に登記をしなくてはならないとあります。
未登記のままでいる場合は、「10万円以下」の過料に処せられることがあります。
ですが、不動産の権利関係を表示する権利部の登記(所有権等)は、登記するかしないかは任意なのです。
権利部の登記をしない場合のデメリットは?
しかし、権利部の登記をしないと自分が所有者であることを、第三者に主張できません。
自分のものであるという証明の為には、必ず登記が必要になるのです。
民法177条:「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」
自分の所有物であることを主張できないということは、当然ながら売却することもその不動産を担保に融資を受けることもできません。
登記がされていないと任意売却もできない
以上の理由から、もちろん任意売却する際も同様で、建物が未登記の場合は所有者としての確認ができないと判断されるため、任意売却自体が出来ませんので注意が必要です。
従って、例えば相続した家を任意売却しようと思っても、相続人が相続登記をして名義を変更しなければ手続きをすることができません。
もし、売却を検討されていてまだ相続登記をされていない方は、まずは司法書士などに相談することをお勧めします。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。