執筆日:2023年12月9日
<相談内容>
夫が病気で先が長くないかもしれません。
仕事も辞めて医療費の負担も大きいためすでに住宅ローンの返済が滞ってしまっており、任意売却を検討しています。
もし夫が亡くなった場合、任意売却の手続き中でも団体信用保険で住宅ローンの残債はなくなるのでしょうか?
<回答>
団体信用保険の効力は期限の利益喪失まで
団体信用保険(団信)は、債務者が死亡したときに残りの住宅ローンをすべて免除するという保険です。
住宅ローン完済前に債務者が亡くなった場合に、家族が家を失わないための制度といえます。
しかし、住宅ローンを滞納してしまうと、この団体信用保険は契約解除となってしまう場合があります。
具体的には住宅ローンの期限の利益を喪失すると団体信用保険も契約が解除となります。
期限の利益とは、住宅ローンを分割して支払う権利のことですが、一定期間(通常は6ヶ月程度)滞納が続くと、この期限の利益を喪失して残っている住宅ローンを一括請求されてしまいます。
この期限の利益を喪失して一括請求が来てしまっている段階では、団体信用保険が効力を失っているため、債務者が亡くなっても住宅ローンがそのまま残ってしまい相続の対象となってしまいます。
任意売却を進める場合は、この期限の利益を喪失します。そのため、自動的に団体信用保険も効力を失いますので注意が必要です。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。