<相談内容>
住宅ローンの支払いが困難な状況になってきたので、任意売却を検討しています。しかし、住宅ローンを組む際に親族に連帯保証人となってもらいましたが、できる限り迷惑をかけたくありません。
<回答> 任意売却後の「任意整理」で連帯保証人への一括請求を回避できます
まず債権者の基本的な考え方として、債務者が支払う事が困難となった場合を想定し、連帯保証人を付けるのを求めます。債務者の方で支払いができなければ、当然の事として、支払う義務は連帯保証人に代わってしまいます。
しかも連帯保証人は通常の保証とは異なり、債権者からの請求に対し有無を言わさず債務を支払わなければなりません。
また、注意しなくてはいけないのは、「自己破産」を行えば、支払い義務が無効になるのという考え方です。
確かに自分が「自己破産」を行えば、自分自身の支払う義務は確かに無くなりますが、債権自体は無効にはならないので、住宅ローンの残債分は、連帯保証人に請求がいきます。そのため、自己破産を行っても、連帯保証人には迷惑がかかってしまいます。
「競売」についても同様です。「競売」は基本的には価格相場としては、市場価格よりも安くなってしまうので、残債額にもよりますが、仮に「競売」で家を売却できたとしても、債務が残り、その支払いができなければ、その請求は、連帯保証人に行きます。
従って、「自己破産」や「競売」の場合、ほぼ確実に連帯保証人にも債務が請求され、それを支払えなければ保証人も破産するしかなくなってしまいます。
結論としては、住宅ローンが支払えなくなってしまった場合で、連帯保証人に債務負担をさせないためには「任意売却」をしたうえで、残った債務を「任意整理」するのが唯一の方法です。
(※「任意売却」と「任意整理」は言葉が似ていて混同される方がいらっしゃいますが、全く別物です)
任意整理とは、任意売却後に残った債務を、分割して支払っていくことを交渉する方法です。
多くの場合、任意売却では残った残債の任意整理が認められ、金額としては月1~3万円の分割払いが相場です。
ただし、任意整理をしたとしても連帯保証人の支払義務自体が無くなるわけではありませので、連帯保証人も任意整理をして分割払いをしなければなりません。
従って、連帯保証人に全く負担を掛けないためには、ご自身で連帯保証人の分割払いの分も負担して払っていく必要があります。
ただし、債権者や状況によって金額が変わってきたり、任意整理自体が難しいケースもありますので、詳しくはお問い合わせください。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。