
住宅ローンが払えなくなったとき、もっとも避けなければならないのは、何もしないまま放置してしまうことです。滞納が続くと、最終的には自宅を強制的に売却されてしまうリスクがあります。
一方、早い段階で対処をすれば、自宅に住み続けられる可能性もあります。今回は住宅ローンが払えないときの解決策を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
住宅ローンが払えない原因
住宅ローンの返済が苦しくなる原因としては、さまざまな事情が挙げられます。主な原因を整理してみましょう。
- 失業・休業などにより、収入が減少してしまった
- 生活費・教育費などが増え、返済に回すお金がなくなった
- 変動金利が上昇して、返済額が想定以上に膨らんだ
- 夫婦でペアローンを組んでいたが、離婚によって収入が実質的に半減した
住宅ローンが払えなくなってしまうのは、上記の例のように、「マイホームを購入した時点では問題なかったものの、その後の状況変化により、収入が減った(もしくは支出が増えた)」というケースが大半です。住宅ローンは30年以上の長期にわたって返済するものであるため、返済期間中に家計の状況が変わることは、決して珍しくありません。
住宅ローンを滞納するとどうなる?
住宅ローンを滞納したとしても、いきなり家を差し押さえられることはありません。どのような流れで差し押さえに至るのか、詳しく見ていきましょう。
督促状・催告書が届く
住宅ローンを滞納すると、金融機関による督促が始まります。まず届くのは、入金期限を過ぎたことを通知する「督促状」です。あくまでも「お知らせ」であるため、そこまで切迫した文面でないこともあります。
一方、督促状が届いた後も入金がなく、2~3か月にわたって滞納が続いた場合、次は「催告書」が届きます。これは法的措置の直前の最終通告としてのニュアンスが強く、確実に通知した証拠を残すために、内容証明郵便で届くケースが多いです。
詳しくは後述しますが、競売を避けたい場合、この督促状・催告書が届いたタイミングで任意売却の専門業者に相談するようにしましょう。
期限の利益が喪失する
住宅ローンの借り手には、毎月分割して返済できる権利、すなわち「期限の利益」が認められています。しかし滞納してから4〜6か月経過すると、契約違反を理由に「期限の利益」が喪失し、残債の一括返済を求められます。
毎月の分割払いすら難しい状況で、残債を一括返済することは、現実的にほぼ不可能でしょう。しかし金融機関側としては、次のステップである「保証会社による代位弁済」手続きへ移行するために、機械的に一括返済を求めてきます。(この時点で、事態は一気に深刻な段階へ移行します)
保証会社が代位弁済する
期限の利益が喪失し、一括返済にも応じられない状態が続くと、保証会社による「代位弁済」が実行されます。代位弁済とは、住宅ローンの債務者に代わって、保証会社が残債を返済することです。
代位弁済されたからといって、住宅ローンを借りている方の債務(借金)がなくなるわけではありません。代位弁済が実行されると、債権(返済を求める権利)は金融機関から保証会社へ移ります。つまり、このステップの後は、債権回収のプロである保証会社が返済を請求してくるということです。
一括返済の請求がくる
保証会社は、返済が滞っている住宅ローンの残高や、滞納期間中に発生した遅延損害金を、金融機関へ全額一括で立て替え払いしています。これらすべての金額が、保証会社から債務者へ一括請求されます。
なお、遅延損害金の利率は、通常の住宅ローン金利よりも大幅に高い年14%前後に設定されているのが一般的です。このため、滞納期間が長くなるほど、最終的な請求額は大きく膨らみます。
そして、保証会社への一括返済にも応じられない場合や任意売却の意思表示をしない場合、保証会社は担保となっている自宅を差し押さえ、競売の手続きへと移行します。
競売開始の通知が届く
一括返済がされない場合、保証会社は裁判所に「競売」の申立てを行います。競売とは、裁判所を通じて不動産を強制売却し、その売却金から債権を回収する手続きのことです。競売の申立てが受理されると、裁判所から債務者へ「競売開始決定通知」が届きます。いわゆる「差し押さえ」の状態です。
この状況に至ると、債権者に無断で自宅を売却・処分することはできません。その後、執行官による物件調査・裁判所による評価額算出といったステップを経て、競売が実施されます。そして落札者が決まると、退去を求められ、自宅を失うことになってしまうのです。
住宅ローンが払えない場合の対処法
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、まず検討したいのが、滞納する前、あるいは滞納初期の段階で取れる対処法です。いくつか例を紹介します。
金融機関に条件変更を相談する
返済が苦しくなったと感じたら、まず借入先の金融機関に相談しましょう。滞納する前に相談すれば、状況によっては、「一時的な元金の返済猶予」など、救済策を取ってくれる可能性があります。
ここで重要なのは、月次の返済を滞納してから連絡するのではなく、払えなくなりそうだと感じたタイミングで相談することです。滞納前に相談すれば、誠実に返済を継続する意思があることが伝わり、柔軟な対応が期待できるためです。なお、すでに滞納してしまっている場合も、なるべく早く相談したほうが、交渉の余地があります。
返済条件の変更を検討する
金融機関への相談が受け入れられた場合、リスケジュール(返済条件の変更)が検討されます。具体的な見直し例は、次のとおりです。
| 借入期間の延長 | 返済期間を伸ばすことで、月々の返済額を減らす |
| 毎月の返済額の引き下げ(期間限定) | 収入が回復するまでの間など、期間限定で月々の返済額を減らす |
| ボーナス返済の見直し | ボーナス払いの金額を減らす ボーナス返済を廃止して月々の返済に組み替える |
| 一時的な元金の返済猶予 | 一定期間、利息分のみを返済することで、月々の返済額を減らす |
いずれも返済総額は増えますが、月々の負担を軽減することで、完済を目指します。
住宅ローンの借り換えで負担を軽減する
現在利用している住宅ローンを、別の金融機関の住宅ローンへ借り換えることで、毎月の返済負担を減らせることもあります。たとえば、新しい住宅ローンのほうが金利は低ければ、それだけ利息負担が減り、月々の返済額も抑えられるのです。
ただし、借り換えをするためには、新しい金融機関側の審査に通過しなければなりません。収入が減少した後では、審査に通らない可能性もあるため、家計に余裕がある段階で準備を進めましょう。また、借り換えに際しては、事務手数料・保証料・抵当権設定費用といったコストが発生する点にも注意してください。
家計の見直し・支出削減を行う
住宅ローンの返済が苦しい場合は、家計の見直しも検討してみてください。たとえば下記のような固定費を見直せば、継続的に家計負担を減らすことができ、住宅ローンを返しやすくなります。
- 通信費(格安SIMに乗り換えるなど)
- 保険料(不要な特約を外す、より安いプランに変更するなど)
- 各種サブスクリプション(使っていないサービスは解約する)
改めて家計を見直すと、数万円単位で余裕が生まれる可能性もあります。支出削減だけで根本的な問題を解決することは難しいかもしれませんが、金融機関への相談と並行して、ぜひ取り組んでみてください。
自宅を手放してもよい場合の解決策
家にこだわらず、住宅ローン負担を減らすことを最優先にする場合の解決策としては、下記のような例が挙げられます。
自宅を売却する
住宅ローンの残債が売却価格を下回る「アンダーローン」の場合、売却金で住宅ローンを完済すれば、債務を整理できます。ローン完済後に残った資金は、新生活の費用に充てることも可能です。
ただし、不動産売却には通常、数か月程度の時間がかかります。ローンを滞納する前なら時間をかけて買い手を探せますが、すでにローンの支払いが困難になっている場合は、任意売却等を検討したほうが良いでしょう。
また、ローンの残債が売却価格を上回るオーバーローンの場合、自宅を売却したからといってローンを完済できるわけではないため、やはり任意売却等で対処する必要があります。
生活保護を受給する
収入が一定未満の場合は生活保護を受けるのも一つの手です。受給の基準や手続きは市区町村によって異なりますが、現状の収入では生活ができないという場合は申請を検討しましょう。ただし、生活保護は不動産などの資産を所有していると対象から外れてしまうため、一度自宅を売却しなければなりません。その場合は、状況に応じてリースバックの活用を検討するのも一つの方法です。
自己破産を行う
自宅を売却しても住宅ローン返済の見込みがまったく立たない場合、自己破産も選択肢になりえます。自己破産とは、裁判所での手続きを通じて、すべての借金の返済義務を免除してもらう制度です。ただし、自己破産するためには、次の条件を満たす必要があります。
- 裁判所が支払不能であると認めている
- 免責不許可事由にあたらない
もしオーバーローンの状態で、なおかつ収入が途絶えているとしても、一定の預貯金などがあり債務超過ではない場合、ただちに支払不能であるとは認められず、自己破産できない可能性もあります。また、浪費を重ねてローン返済ができなくなった場合も、自己破産が認められない可能性があります。
任意売却を検討する
オーバーローンであるものの、競売や自己破産を避けたい場合には、任意売却を検討してみてください。任意売却とは、すべての債権者の同意を得たうえで、自宅を通常の不動産市場で売却する方法です。
競売では市場価格を大幅に下回る額でしか売却できないケースが多いのに対し、任意売却なら市場価格での売却が期待できるため、残債務を大きく減らせます。また、競売の事実は広く周知されますが、任意売却ならプライバシーを守りやすいこともポイントです。
なお、任意売却を成立させるには、競売手続きが進む前に売却・決済を完了させる必要があるため、早めに専門業者へ相談しましょう。
自宅を手放したくない場合の解決策
住宅ローンの返済は苦しいものの、自宅から離れたくないという方もいるでしょう。そのような場合には、下記の対処法を検討してみてください。
リースバックを利用する
住宅ローンの返済は苦しいものの、住み慣れた自宅で暮らし続けたい場合、まずは「リースバック」を検討してみてください。リースバックとは、「不動産売却」と「賃貸借契約」を同時に行う取引です。自宅売却資金で住宅ローンを完済し、なおかつ買主と賃貸借契約を結べば、そのまま同じ家で暮らせます。
ただし、リースバック取引での売却価格は、市場相場より低くなるケースが多いです。また、売却後は住宅ローンを返済する必要はありませんが、毎月の家賃を支払わなければなりません。リースバックを利用する際は、「毎月の住宅ローン返済額」と「リースバック後の家賃」を必ず比較しましょう。
個人再生を利用する
個人再生とは、裁判所の手続きを通じて借金を大幅に(通常は5分の1程度に)減額し、その圧縮後の債務を3〜5年かけて分割返済する債務整理方法です。この個人再生には、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があります。これは住宅ローンについては従来通り支払い続けながら、それ以外の借金を減額する仕組みです。
このため自己破産と異なり、自宅を手放さずに債務整理できる点が、個人再生ならではのメリットといえます。住宅ローン以外の借金さえ整理すれば、家計を再建できると考えられる場合には、ぜひ個人再生を検討してみてください。
障害年金を受給する
病気やケガによって生活や就労に支障がある場合は、「障害年金」を受給できる可能性があります。身体のマヒなどの身体障害だけでなく、うつ病や糖尿病などが対象となる場合もあります。
障害年金はその等級によりますが、年間で80万円以上もらえるケースも珍しくなく、この障害年金を住宅ローンの返済に充てることで家を守るというのも方法の一つです。
住宅ローンの返済が難しい場合にやってはいけないこと
さて、住宅ローンの返済が難しい場合に下記のような行動をとると、事態がかえって悪化する可能性もあるため注意してください。
対処せず放置する
住宅ローンの返済が苦しくなったものの、どうしたらいいか分からず、問題を先送りにしてしまう方も珍しくありません。しかし記事前半で紹介したとおり、毎月の返済を滞納すると、督促状・催告書の送付から始まり、期限の利益の喪失、代位弁済、そして競売へと、事態は日を追うごとに深刻化してしまいます。
また、滞納が続くほど遅延損害金が積み重なり、最終的な返済総額が膨らんでしまう点も問題です。早めに金融機関・任意売却の専門業者に相談すれば、それだけ取れる選択肢が多いため、問題を放置することは絶対に避けましょう。
返済のための新たな借入れをする
住宅ローンの返済に行き詰まったとき、カードローンや消費者金融から借り入れて、それを返済に充てようとする方がいます。しかしこれは、多重債務の原因です。そもそも住宅ローンの金利は、非常に低い水準に設定されています。
これをカードローンなどからの高金利の借り入れで返済しようとすると、利息負担が急増し、すぐに行き詰まってしまいます。むしろ返済総額を大きく膨らませるリスクがあるため、住宅ローン返済のための新たな借入れをすることも避けてください。
住宅ローンが払えなくならないための対策
住宅ローンの返済に行き詰まる事態は、事前の備えによって、ある程度は防げます。代表的な対策を5つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
無理のない返済額で住宅ローンを組む
収入に対して借入額が多すぎると、住宅ローンの返済に行き詰まりやすいです。一般的に、住宅ローンの返済額は、年収の25〜30%以内に抑えることが望ましいとされています。たとえば年収400万円の方の場合、年間の返済額は100〜120万円、月々に換算すると8.3〜10万円程度が目安です。この水準よりも返済比率が高い場合、突発的な支出をきっかけに、住宅ローン返済に行き詰まる可能性があるため注意してください。
固定費を見直して家計に余裕をつくる
住宅ローンを無理なく返済し続けるためには、日頃から家計に余裕をつくっておくことが重要です。とくに毎月必ず発生する固定費は、一度見直すだけで継続的な効果が得られるため、優先的に見直しましょう。
記事前半で紹介したとおり、通信費・保険料・サブスクリプションなどは、気づかないうちに家計を圧迫していることがあるため、とくに注意してください。
変動金利のリスクを理解しておく
固定金利と比べると、変動金利のほうが契約時の金利は低いです。しかし、金利が上がると、毎月の返済額が高くなる点には注意しなければなりません。変動金利でローンを組んでいる方は、今後さらに金利が上昇した場合に、問題なく返済できるかシミュレーションしておきましょう。必要に応じて繰上返済をしたり、固定金利へ切り替えたりするのも選択肢の一つです。
生活防衛資金を確保しておく
突然の失業や、病気・ケガによる休業などで収入が減り、住宅ローンの返済に行き詰まる方は珍しくありません。このような予期せぬ事態があっても、住宅ローンを計画通りに返済するためには、生活費(住宅ローンを含む)の3〜6か月分程度に相当する「生活防衛資金」を確保しておくことが大切です。
なお、生活防衛資金を貯める余裕もない場合、それ自体が住宅ローンの返済計画を見直すべきサインともいえます。
早めに相談できる状態を作っておく
繰り返しとなりますが、住宅ローンに関わる問題は、早期に対処することが大切です。そのため少しでも不安を感じたら、そのタイミングで専門家に相談してみてください。相談先としては、借入先の金融機関のほか、任意売却の専門業者や弁護士・司法書士などが挙げられます。また、リースバックを専門とする不動産会社へ相談するのも選択肢の一つです。
当社も債務問題に強い弁護士・司法書士などと提携し、住宅ローン返済にお困りの方をサポートしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
住宅ローンが払えないことに関するよくある質問
それでは最後に、住宅ローン返済にお困りの方からよく寄せられる質問と、その答えを紹介します。
住宅ローンを払えないとすぐに家は差し押さえられますか?
住宅ローンの返済が遅れたからといって、すぐに家が差し押さえられるわけではありません。滞納から差し押さえ(競売開始)に至るまでには、滞納開始から約6〜8か月程度の猶予があるケースが多いです。競売を避けるためには、この期間内に任意売却などを進める必要があります。
住宅ローンが払えないとブラックリストに載りますか?
住宅ローンを滞納すると、信用情報機関に延滞情報が登録されます。この状態が、いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれるものです。なお、こちらも返済が遅れたからといって、すぐにブラックリストに登録されるわけではありません。滞納が2〜3か月以上にわたると、登録リスクが高まります。
まとめ
住宅ローンが払えなくなったとしても、いきなり差し押さえ・競売が始まるわけではありません。督促状・催告書の送付から競売開始までには、一定の猶予があるため、すぐに対策を始めれば、周囲に知られずに対処できる可能性があります。
なお、対処方法の候補が「リスケジュール」「任意売却」「リースバック」「個人再生」など多岐にわたり、どれが自分に合っているのか分からない方もいるでしょう。そのような場合は、ぜひ住宅ローン問題の専門家である当社にご相談ください。ご自宅が競売にかけられてしまうことを避けるため、状況に応じた解決策をご提案させていただきます。









