任意売却のご相談をいただくなかで、最も多いのが住宅金融公庫(現 住宅金融支援機構)の任意売却です。
住宅金融支援機構の場合は適切な時期に申し出を行えば、原則として任意売却に応じてくれます。
ただし、開札ギリギリでの任意売却の申し入れは認められないこともあります。
したがって、早い段階で任意売却の決断をすれば、政府系の住宅金融支援機構の場合でも任意売却に対応してもらえるとお考えください。ただし、住宅金融支援機構の場合、他の民間の金融機関とは異なる独特の手続きや書類を求められますので注意が必要です。
なお、住宅金融公庫は住宅建設資金や土地,借地権を取得したりするための資金を融通する政府金融機関で、現在は「住宅金融支援機構」に名称が変わっています。
旧住宅金融公庫では、住宅ローンを直接融資していましたが、現在の住宅金融支援機構では一部の民間金融機関による貸付が困難な分野のみに直接融資を限定しています。
その他の一般的な住宅ローンについては、民間金融機関が長期固定金利の住宅ローンを提供できるよう資金の融通を支援する機構で、特に長期固定金利のフラット35が有名です。
フラット35などの住宅ローンを組まれた方はご存知かと思いますが、住宅金融支援機構の住宅ローンを組むときには、保証会社への保証料は必要なくまた保証人も求められません。
任意売却を進める際、住宅金融支援機構は保証会社がありませんので、債権者はずっと住宅金融支援機構のままとなります(住宅金融支援機構の場合は、債権は譲渡されません)。
※債権回収業務はエムユーフロンティアや日立キャピタルといったサービサーが行いますが、あくまで業務を代行している形となります。
民間の金融機関からの借り入れと住宅金融支援機構(政府系)からの借り入れではその対処方法も異なる面があります。
すなわち、住宅ローンの借入先によって、返済が困難になった時の対応方法は異なるということです。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。