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所有権留保とは?(太陽光パネルや給湯器のローンが残っている家の任意売却)

自宅に設置されている太陽光発電のパネルや給湯器などの設備で、住宅ローンとは別のローンが残っている家を任意売却する場合、これらの設備の所有権留保に注意する必要があります。

所有権留保とは

所有権留保とは「売主が売買代金を担保するため、代金が完済されるまで引渡しの終えた目的物の所有権を留保するもの」です。

実は、法律の規定はありません。
非典型担保とよばれ、判例によって認められた制度です。

例えば、売買代金を割賦払いとする売買契約において、買主が割賦代金を全額支払い終えるまで売買の目的物の所有権を買主に移転せずに売主にとどめておく(留保)しておくことです。

よくある具体例として、自動車等の割賦販売があります。

自動車を一括払いではなく、割賦で購入(分割払いで購入)すると、代金完済までは所有者が販売会社になっていると思います。

これが、所有権留保の典型です。
一般の家庭の場合では、太陽光発電のためのソーラーパネルや給湯器などの設備にも適用されています。

自動車の割賦代金を支払えなくなると,ディーラー又は販売会社が自動車を引き揚げて残債務に充当するということが行われます。これは,自動車に所有権留保がなされているからです。

※それでは、納品先の会社が破産し、代金が支払われていないという場合、売主は破産会社(破産管財人)に対して、所有権留保特約を理由に、「商品を返せ!!!」という主張はできるのでしょうか。

実は所有権留保特約があってもそれだけで返還請求はできません。

その代わりに、破産手続きとの関係ではその商品に対して一種の担保権を有するものとして扱われ、抵当権などの担保権と同様に扱われます(これらの担保権を総称して「別除権」といい、破産手続に拘束されることなく行使することができます。)

具体的には、売主は破産会社(破産管財人)に対し、商品等の時価と売買代金残金との差額(清算金)の支払と引換えに目的物の引渡し請求をすることができるとされています。

所有権留保のある家の任意売却

まだ代金の支払いが残っている設備が含まれる家を任意売却した場合、これらの設備は残代金を支払わない限りは担保権者から引渡を請求される場合があります。

実際にあった例としては、給湯器の所有権が留保されていた自宅を任意売却したところ、給湯器が債権者によって強制的に引き上げられたというケースがありました。

そのため、まだ支払いが終わっていない設備のある家を任意売却する場合は、先に代金を支払ってしまうか、難しい場合は買主に代金を負担してもらうなど、買主とも調整をして進める必要があります。


【執筆者】

ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)

大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。

その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。

その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。

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