物上保証とは、一言で言うと債務に対する担保提供者のことです。
一般的に、住宅ローンの場合はローンの対象となっている自宅を担保にお金を借ります。
しかし、住宅ローン以外の借入では自宅以外の不動産を担保にするケースもあり、借りた本人(債務者)以外の人の不動産を担保にする場合は、この担保を提供する人を物上保証人と言います。
よくある例としては、個人事業主や法人の代表者が事業資金として資金を借り入れる場合に、親や親族の不動産を担保に入れるようなケースです。
物上保証と連帯保証の違い
連帯保証とは、その債務全額について保証をすることです。
従って、借りた本人(主たる債務者)が返済できなくなれば、残っている債務について全額の支払い義務が生じます。
そのため、例えば住宅ローンが3000万円残っている状態で返済ができなくなってしまったとに、担保になっている家が2000万円しか売れなかった場合は、残り1000万円についても連帯保証人に返済義務が生じます。
一方で、物上保証はあくまでも担保の提供だけですので、上記の例と同様に債務が3000万円残ってその担保となっている不動産が2000万円でしか売れなかったとしても、残り1000万円については返済義務は生じません。
実家などが担保になっている借入の返済ができなくなってしまった場合
当社にいただくご相談の中で、「親の住んでいる実家が担保になっている借入の返済ができない」という方がいらっしゃいます。
「自分たちはどうなっても良いから両親が住んでいる実家だけはどうしても何とかしたい」という悲痛な状況ですが、この場合そのまま返済が滞ると当然実家が競売にかけられてしまいます。
そこで、ご提案しているのがご実家のリースバックです。
リースバックとは一度自宅を売却していただき、そこをそのまま賃貸で借りて住み続けるという方法です。
返済ができなくなると当然に担保となっている実家は競売にかけられてしまいますので、そうなる前にご実家を売却いたただき、その売却代金で借金を返済したうえで賃貸としてご両親に住み続けてもらうのです。
もちろん所有者であるご両親の協力が得られることが条件にはなりますが、この方法を採ることでご両親が競売で実家を追い出されてしまうという最悪の事態は避けることができます。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。