【詳細解説】
競売で落札されると、家や土地(不動産)を占有している人は立ち退かなければなりません。
なぜなら、不動産の落札者である買受人が代金を納付した時点で、所有権が買受人に移り不動産を正当に占有する権原を失ってしまうからです。
ところが、なかなか立ち退かないという事態はよくある話です。
というのも、苦労して買った家や土地を手放したくはない…そんな思いからか立ち退き期日を経過しても居座るということがあります。
しかし、落札後立ち退かない場合は、裁判所の強制執行により退去させられてしまいます。
強制執行の手続きと流れ
買受人はまず裁判所の引渡命令を得て、買受人は強制的に債務者(占有者)を退去させる権利(債務名義)を獲得します。
そして、買受人は、債務名義・執行文・送達証明書の3点が手に入ると債務者を強制的に追い出すために、裁判所に強制執行の申立てを行うことができてしまいます。
強制執行が申し立てられて2週間くらい経過するとまず、裁判所より催告が行われます。
具体的には、執行官が債務者の元に訪問し、「今日から1ヶ月経過した日に強制執行を断行します。なので1ヶ月以内に退去してください。」と説明されます。
強制執行の実行日を示した紙を自宅や土地に貼られてしまいます。
上記催告にもかかわらず退去しないといよいよ強制執行が実施されます。
強制的に今占有している不動産から追い出されてします。
強制執行の内容
もし荷物をまだ持ち出していなければ強制的に運び出され、そして、住宅であれば勝手に鍵を交換されてしまいます。
なお、この強制執行は裁判所の命令によって行われるためあくまでも正当な行為ではありますが、抵抗しようとするとかなり強引に追い出されてしまいます。
場合によってはまだ家の中にある家財などを持ち出すことさえできずに追い出され、路頭に迷うという最悪のケースもあります。
そうなってしまう前に、次の生活のために転居しておくことはもちろん、まだ競売の開札前であれば任意売却に切り替えることをお勧めします。
※強制執行を妨害しようとしたり、現実に妨害したりしてしまうと公務執行妨害という罪になる恐れがありますのでご注意ください。
※なお、この強制執行にかかった費用は債務者へ請求されます。
【執筆者】
ライフソレイユ株式会社
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。