任意売却のご相談をお受けしていると、よく「代位弁済とは何ですか?」というご質問をいただきます。
代位弁済とは、債務者以外の第三者または共同債務者の1人が債務者に「代位」(代わって)して債権者に「弁済」することをいいます。
これは簡単に言うと、債権者が銀行から保証会社に交代したということです。
住宅ローンを3~6か月滞納すると、この「代位弁済決定のご通知」といった書類が送られてきます。
代位弁済されると、その後すぐに自宅の競売の手続きが進んでしまいますので、一刻も早い対応が必要になります。
【詳細解説】
住宅ローンとの関係では、ローンを借りる際、保証会社が住宅ローンの保証をすることが一般的です。
債務者(住宅ローンの借主)が資金難などからローンを支払えなくなると、その債務を保証会社が債務者に「代位」(代わって)て「弁済」(支払い)します。
では、保証会社が銀行に債務者の代わりにローンを支払った後はどのようになるのでしょうか。
民法にこんな規定があります。
民法501条:「…債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。」とあります。
つまり、保証会社が債務者に代わり、ローンを銀行に弁済した結果、銀行の債権者としての地位が保証会社に移転するということです。
その際、「債権者(銀行)が有していた一切の権利を行使することができる。」とあるように、ローンを借りる際、銀行のために設定していた抵当権(担保)も保証会社に移転することになります。
当然、保証会社が債権者として、銀行に代わって債務者にローンの請求をしてきます。
代位弁済されると競売まで秒読み段階
代位弁済で保証会社に債権が移った時にはすでに期限の利益を喪失しています。
期限の利益の喪失とは、住宅ローンを月々支払う権利を失ったということであり、残っているローンを一括で返済しなくてはなりません。
そのため、銀行に対してローンは月々支払うことが出来ましたが、保証会社からは「一括でローンを支払え」との請求が来ますので、この時点で実質的には返済不能に陥ります。
そして、支払いができない場合には、すぐに債務者の自宅を競売にかけて債権の回収を図ります。
これを避けるためには、競売になる前に任意売却をする必要がありますが、代位弁済が完了してしまっている場合、残された時間は長くありませんので、できる限り早くご相談いただきますようお願いいたします。