相続手続きをしていない自宅のローンの支払いが困難に → 相続手続き後に任意売却
ご相談時の状況
お父様を5年前に亡くしたS様は、名古屋市内にあるお父様の名義のマンションにそのまま住み続けていましたが、引き継いだ住宅ローンを支払いを続けていくことができなくなりました。
当社にご相談いただいたときにはすでに4か月ほどローンを滞納されていて、残債も1500万円以上残っている状態でした。
しかし、S様はお父様が亡くなった際に相続の手続きをしていなかったため、すぐに任意売却しようにもできない状態でした。
当社のサポート内容と結果
相続の手続きをしていない場合、その不動産は法定相続人全員の共有財産という扱いになるため、相続人全員の承諾を得る必要がありました。
S様にはお姉様が2人いたため、お二人の承諾も必要だったのですが、マンションを売却しても残債が残ってしまうため、任意売却するとその債務がお姉様2人にも降りかかってしまう状態でした。
そこで、お姉様方に当社からご説明をしたところ、お二人は住宅ローンが残っていることをご存じなく、なおかつ他の財産もお父様から一切相続していなかったため、相続放棄の手続きを取ってもらうことにしました。
相続放棄とは相続の権利をすべて放棄して、債務を相続することを防ぐ手続きで、当社で司法書士を手配して早急に相続放棄の申請を行いました。
その後、S様のみがご自宅のマンションを相続登記して名義をお父様からS様に変更し、無事に任意売却することができました。
感想
父と住んでいたマンションにそのまま住み続けていましたが、父と2人で分割して払っていたローンを1人では払いきれず、どうすれば良いのかわからなくなってしまいました。姉にはどうしても迷惑をかけたくなかったのですが、相続の方法まで教えてくれて、結果的に姉に借金を背負わせなくて済んだので、本当に助かりました。(S様のインタビューはこちら>>)
解説
通常、団体信用生命保険に加入していれば、ローンの名義人が亡くなった時点でローンが消えるのですが、団体信用生命保険に加入されていない方も少なくないようです。相続手続きが終わっていない物件を任意売却する場合は、法定相続人全員の署名と押印が必要になりますが、残債が出る場合は全員にその債務が降りかかってしまいます。そこで、有効なのが相続放棄という手続きです。無関係の相続人にこの手続きをしてもらえれば、最初から相続していないことになり、任意売却しても残った債務が降りかかることもありません。(ただし、被相続人が亡くなってから通常3か月以上経過している場合の相続放棄には要件がありますのでご注意ください)