<相談内容>
自己破産をすると生命保険を解約した場合の払戻金はどうなってしまうのでしょうか?
現在、任意売却を検討していますが、任意売却が難しかった場合、自己破産となってしまう事も想定しておく必要があると考え、自己破産についてもいろいろと調べています。
その自己破産について質問なのですが、自己破産をした場合、生命保険はどうなってしまうのでしょうか?解約した場合の払戻金などは、やはり財産として見なされてしまい、債権者に回収されてしまうのでしょうか?
<回答>
生命保険を解約したときに戻ってくる返戻金は、「財産」として評価されます。
生命保険のタイプ別の自己破産による影響
生命保険には「掛け捨て型」と「積立型」がありますが、それぞれ自己破産手続きでの扱いが異なります。
● 掛け捨て型生命保険
掛け捨て型の生命保険は解約返戻金が発生しないタイプのものが多いです。ですので、財産とみなされず、ほとんどの場合が自己破産をしても影響はありません。
● 積立型(貯蓄型)生命保険
積立型(貯蓄型)の生命保険の場合は解約返戻金が発生するタイプのものが多いです。
解約返戻金は一般的に、積立期間が長いほど高額になります。ですので、長きにわたって積み立てをしていた場合には、財産としての評価も当然高くなります。
解約返戻金が20万円を超える場合の取扱い
自己破産手続きの際、債務者の財産の確認が行われます。
一般的に「20万円を超える財産」は破産手続きで決められる財産(破産財団)に組み込まれることとなります。
したがって、生命保険の解約返戻金が20万円を超える場合には、これが財産として扱われる可能性があります。
その場合、債権者へ配当するために解約をせざるを得ない場合があります。
対して解約返戻金が20万円以下の場合、解約を求められることは少ないでしょう。
自己破産時に解約返戻金が債権者へ分配されるのを防ぐ方法
生命保険の契約内容によっては、解約返戻金を担保に生命保険会社から借入を行い、返戻金を20万円以下にする方法があります。
しかし、破産手続きの中でそのような行為をなぜ行ったのか説明が必要になります。
また、このような行為が発覚すると、場合によっては破産管財人から否認権を行使され、その行為が取り消されることもあります。
その場合、解約返戻金の全額が債権者への配当に充てられる可能性が高くなります。
生命保険解約のデメリットを考える
自己破産により生命保険の解約を迫られた場合、一度解約してしまうと年齢や健康状態によっては再加入することが難しい場合も多いです。
また、再加入できたとしても月々の負担額が増えてしまうこともあります。
ですので、自己破産を検討されている方で生命保険に加入されている方は、生命保険解約のデメリットについても考慮する必要があると思われます。
自己破産が影響する生命保険は、自分で契約しているものに限られない!
自己破産することにより解約が求められるのは、契約者が破産者本人の場合だけでなく、契約者が親の場合にも該当することがあります。
例えば、親が破産者名義で生命保険を契約しており、その解約返戻金の受取人が破産者であると判断された場合には、その返戻金が20万円を超えていると、破産者本人の財産として評価される可能性があります。
それに対し、破産者本人が子どものために生命保険を契約しており、その解約返戻金の受取人が破産者ではないと判断された場合には、破産者本人の財産とみなされないため、解約する必要はありません。
任意売却で自己破産を免れる場合もある
任意売却は、不動産を市場に近い形での売却もできることもあるため、住宅ローンを含めた残債の返済の目途が立ち、自己破産をせずに済む可能性があります。
<任意売却のメリット>
● 信用情報に及ぼす影響が比較的小さい
自己破産をすると、長期間(長いと約10年間)は信用情報に事故情報が残るため、新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなることが多いです。任意売却を選択してもその過程において信用情報へ傷が入りますが、任意売却のみで済めば信用情報への影響も比較的小さく、再起の機会を得やすくなります。
● 債権者と協議し、債権者の合意を得て不動産の売却ができる
任意売却は、不動産の評価やローン残高、返済状況などを踏まえて債権者と協議し、合意のもとで不動産の売却を進めることができます。これにより時間的余裕が得られ、本人や家族が生活の変化に適応するための猶予が生まれることも大きなメリットです。
これらのほかにもメリットはありますが、任意売却のデメリットももちろんありますので、その選択が最善かどうかは人それぞれです。
任意売却のメリットについては、次の記事でも記載しておりますので、よろしければこちらも併せてご覧ください。
競売になる前に任意売却を選択すべき?そのメリットとデメリットについて>>
自己破産か任意売却かの選択は状況により判断する
自己破産を選択すべきかどうかは、個人の債務額、生活状況、不動産の価値によって異なります。
任意売却で自己破産を回避できるかどうかを見極めるには、不動産の売却価格が残債をどの程度カバーできるかどうかが重要です。
任意売却を選択しても、住宅ローンなどの残債務が多いと不動産を売却しただけでは解決しきれず、最終的には自己破産に至る場合もあります。
しかし、任意売却で残債をカバーできれば、自己破産を避けつつ生活の立て直しが可能となります。
自己破産を選択する前に、任意売却やその他の債務整理方法を検討しましょう
まずは任意売却の専門業者(任意売却を専門的に取り扱っている不動産仲介業者)から具体的なアドバイスを受けることが大切です。
そして専門家のアドバイスをもとにどの債務整理の方法が良いのか最善策を見つけましょう。
早期に専門家のサポートを受けることで選択肢は広がる可能性があるため、早めにご相談されることをお勧めいたします。
当社ライフソレイユは、任意売却の専門家として数多くの実績がございます
任意売却を検討されているということですので、まずは当社に状況を詳細にお知らせいただけないでしょうか。
任意売却を行った事で自己破産を免れて、ストレスの無い生活を送れている方も多くいらっしゃいます。
任意売却を好条件に導くために、経過豊富なスタッフが責任を持ってご対応いたします。
是非お気軽にご相談ください。
【執筆者】
加藤康介(宅地建物取引士)
大手コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして6年間従事し、中小企業の経営をサポート。
その後、任意売却専門の不動産会社「ライフソレイユ株式会社」を設立し、これまでに1000人以上の住宅ローン返済に困窮する相談者の生活再建を支援している。
その活動がテレビでも取り上げられ、雑誌にも定期的に記事を寄稿している。